[世界遺産] 200年の歳月をかけて建設されたシエナ大聖堂

duomo di sienaイタリア

シエナは、13~14世紀フィレンツェと激しい覇権抗争を繰り広げながら、ヴェネツィア、ピサ、
ジェノヴァとの金融取引で莫大な富を得た街です。

シエナ大聖堂は、フィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂に対抗し、
1220年に起工されますが、14世紀中ごろから流行したペストがシエナを襲い、
財政困難に陥ったシエナは、大聖堂の工事を中断せざるを得なくなりました。

約200年の歳月をかけて建設された美しい大聖堂は、未だに未完成部分を残し現在に至ります。


– AD – 本ページはプロモーションが含まれています。

アクセスと見学時間

所在地:Piazza del Duomo 8

見学時間:

  •   4月1日~10月31日: 10:00 am – 7:00 pm / 日曜・祭日: 1:30 pm – 6:00 pm
  • 11月1日~  3月31日: 10:30 am – 5:30 pm / 日曜・祭日: 1:30 pm – 5:30 pm
  • 12月26日~1月  6日: 10:30 am – 6:00 pm / 日曜・祭日: 1:30 pm – 5:30 pm

見学時間・料金は、季節によって変わるので、公式ページで確認してください。

見学コースと入場料について

Siena

シエナ大聖堂の斜め向かいにある建物がチケットオフィスでチケットを購入できます。
9:45から営業しています。(クレジットカード払い可)

週末などは混みあう場合があるので、Get Your Guide などの チケット販売サイト から購入しておくと、
待ち時間を節約することができます。

  • OPA SI PASS [ Duomo、Libreria Piccolomini、Cripta、 Battistero、Museo ]
    大人:€8 ~ €13 (季節によって入場料が変わります)
  • OPA SI PLUS [Duomo、Libreria Piccolomini、Cripta、 Battistero、Museo + Porta del Cielo
    (天国への扉ツアー)]
    大人:€ 20

◊ チケットは3日間有効です。各入口でチェックされるのでなくさないようにしましょう。

 

大聖堂への入場について

教会を訪問すると、大抵入口に服装についての注意書きを見ます。
暑い時期はノースリーブや短いスカート、半パンという格好で観光に出ますが、
教会見学のマナーとして肌の露出は禁じられています。

スカートや半パンは膝下のものを着用し、
大判のスカーフなどを携帯して肩の露出を隠して入場しましょう。

シエナ大聖堂の見どころ

私たち親子は、大聖堂、ピッコローミニ図書館、クリプタ、サン・ジョヴァンニ洗礼堂、
ドゥオーモ付属美術館の入場が含まれている OPA SI PASS を購入したので、
その見学スポットを紹介します。

ドゥオーモ付属美術館には、時間の関係で入場できなかったので省略します。

大聖堂のファサード

Duomo di Siena

世界遺産シエナ歴史地区を飾るシエナ大聖堂のファサードは、イタリアに数少ないゴシック様式です。
スタイルが上下2つの部分に分かれていますが、これは上下で建築の時期が違うためです。

ファサード上部は、カマイーノ・ディ・クレシェンティーノによって1299〜1317年に建設され、
下部はジョヴァンニ・ピサーノが手掛けており、ロマネスク様式とゴシック様式が融合した建築に
なっており、彼はこの仕事に1284〜1297年の歳月を費やしています。

ジョヴァンニ・ピサーノはファサード下部のゴシック彫刻も手掛けています。
預言者や族長、哲学者など14体が造られました。現在は全て作品のコピーが置かれており、
オリジナルは大聖堂附属美術館(Museo dell’Opera del Duomo)に展示されています。

大聖堂の内部

Duomo di Siena

建築の全体構造はロマネスク様式で一貫性のない建築技術だといわれていますが、黒と白のボーダーの柱は、
とても重厚感があり、このコントラストが教会内部を引き立てているように思えます。

どこから見ればよいのか困惑する内装で、しばらく茫然と教会の中を眺めました。

Duomo di Siena

大聖堂の身廊上部には、歴代の法王と歴代の王の胸像が並んでいて圧迫感があります。

大理石の大型モザイク

Duomo di Siena

大聖堂の床は、56作の大理石のモザイクで装飾されており、世俗的なものから聖なるテーマを使った
スケールの大きなものが多く、絵画のように人の表情までも表す繊細なものもあります。

duomo di Siena

天国の扉ツアーに参加すると、大聖堂の上階からこれらの床絵をシャッターに収めることができます。

バラ窓には「最後の晩餐」

Duomo di Siena

[ 最後の晩餐 ]

16世紀、パストリーノ・デイ・パストリーニ
によっての制作された薔薇窓の内側です。

繊細で鮮やかなステンドグラスで、
最後の晩餐の様子がテーマになっています。

ステンドグラスはバラ窓だけではなく、身廊の窓もすべてステンドグラスになっています。

大聖堂の装飾は、床の美しい大理石のモザイクや大聖堂の内部と外部を飾る大理石や彫刻、
ステンドグラスやクポーラの内側を飾るブルーと金の装飾なども鮮やかで目を見張ります。

ニコラ・ピサーノの説教壇

Duomo di Siena Duomo di Siena

西洋美術史の教科書などでもよく見られる「Pulpito del Duomo di Siena (説教壇」)は、
13世紀ニコラ・ピサーノによって製作されたイタリア彫刻の中で、最も重要な作品の1つです。

ピサの洗礼堂のために造った説教壇のパターンを繰り返していますが、ピサの説教壇は六角形の「古典風」
なのに対して、シエナの説教壇は八角形の「ゴシック」と評価されています。

階段部分は、ニコラ・ピサーノが取り付けたものが失われ、16世紀にベルナルディーノ・ディ・ジャコモが
製作した階段が、現在みられるものです。

ドナテッロの洗礼者・サン・ジョバンニ像

Donatello, Duomo di Siena Donatello,Duomo di Siena

洗礼者・サン・ジョバンニ (San Giovanni Battista)像は、フィレンツェのドゥオーモこと
サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂の扉やダビデ像など数多くの作品を手掛けたフィレンツェの
芸術家ドナテッロによって1455年造られ、1457年このサン・ジョバンニ の礼拝堂に置かれました。

下部洗礼盤は、アントニオ・フェデリギ作です。

ピッコローミニ図書館

libreria piccolomini siena

大聖堂の左側に位置するピッコローミニ図書館は、シエナの名門貴族ピッコローミニ家の書庫で、
長年公開されていなかった貴重な場所です。
図書館という名前から広い場所を想像していたのですが、意外と小さな部屋で入り口も狭いです。

libreria piccolomini siena

なんとなく見ていたのですが、
床にはピッコロ―ミニ家の三日月の
紋章入りの菱形のマヨルカ陶磁のタイルが、
一面に張りめぐらされています。

天井や壁は美しく鮮やかなフレスコ画と金で飾られており、聖歌譜が展示されています。

天井のフレスコ画は16世紀ピントゥリッキオとその助手たちによるもので、ヴァチカン美術館の
ラファエロの間を手掛けたあのラファエロも助手の1人でした。

libreria piccolomini siena libreria piccolomini siena

次は、クリプタです。
入り口は、大聖堂の正面出口から出て左側に建物に沿ってアーチをくぐったすぐ左手です。
ピッコロ‐ミニ図書館のある大聖堂から出て、クリプタへと向かいます。

siena

クリプタ

Cripta del Duomo di Siena

入り口は大聖堂の外ですが、クリプタはシエナ大聖堂の地下に位置します。

Cripta del Duomo di Siena

1999年大聖堂の修復工事中に発見された地下の1室で、14世紀に封印された140平方メートルの
この一室は、13世紀のフレスコ画で覆われ、床は破片で満たされていたそうです。

フレスコ画は旧約聖書と新約聖書の2つのテーマに分けられ、鮮やな彩色で描かれた様子が見られます。

Cripta del Duomo di Siena Cripta del Duomo di Siena

大聖堂の初期の構造が見られるように、ガラス張りで地下の様子がうかがえます。

Cripta del Duomo di Siena

クリプタの壁に描かれたフレスコ画は、グイド・ダ・シエナ、ディエティサルビ・ディ・スペーメ、
グイド・ディ・グラツィアーノ、リナルド・ダ・シエナなど13世紀後半にシエナで活躍した
アーチストによって描かれたものだそうです。

参考サイト:https://operaduomo.siena.it/it/luoghi/cripta/

Cripta del Duomo di Siena

次は、サン・ジョヴァンニ洗礼堂へ向かいます。
サン・ジョヴァンニ洗礼堂は、クリプタを出て石段を下り切った左手が入り口です。

サン・ジョヴァンニ洗礼堂

Battistero di San Giovanni Battista di Siena

大聖堂の北側にあるサン・ジョヴァンニ洗礼堂は、1317~1325年に建設されました。

洗礼堂の天井を覆うのフレスコ画は、ロレンツォ・ディ・ピエトロ(通称イル・ヴェッキエッタ)によって
描かれた15世紀のシエナ絵画の代表的な作品です。

Battistero di San Giovanni Battista di Siena

フィレンツェでも洗礼堂の扉の浮彫りを手掛けたギベルティ(Lorenzo Ghilberti)をはじめ、
ドナテッロ(Donetello)、ヤコポ・デッラ・クエルチャ(Jacopo Della Quercia)など1417~1431年の
主要彫刻家によってつくられた大理石と青銅、金箔のブロンズを使用して造られた洗礼盤は、
初期イタリア・ルネサンス彫刻の傑作と言われています。

[世界遺産]シエナ歴史地区の散策スポット!
ローマから日帰りでアクセスできるシエナの散策スポットを紹介しています。

ゴシック様式の大聖堂のファサードについて

イタリアでゴシック建築というと、ミラノの大聖堂やオルヴィエートの大聖堂の名が上がります。

このシエナの大聖堂を見たときに、オルヴィエートの大聖堂を思い浮かべたのですが、
それもそのはず、この両大聖堂には同じ人物がかかわっていたんです。

オルヴィエートの大聖堂は、シエナ出身でシエナ大聖堂の建築にかかわった
ロレンツォ・マイターニが、建築主任として建てられたのです。

オルビエートはローマから電車で約1時間なので、ぜひオルビエート大聖堂も見学コースに
入れてみてください。

ウンブリア州の丘上都市オルヴィエートの散策スポット の記事を読む
ローマから日帰りで観光できるオルビエートの散策スポットを紹介しています。
error

Enjoy this blog? Please spread the word :)

タイトルとURLをコピーしました