須磨寺は、神戸市にある創建1100年を超える「源平ゆかりの古刹」として全国的にも有名です。
由緒正しいお寺の境内には、祈りの場だけでなく、絵画に出てくるような美しい庭園や源平ゆかりの史跡、
芭蕉や子規の句碑、ユニークな石像など思わず笑みを浮かべる見どころが満載です。
ほかの寺院とは違う、ユニークなお参りができる須磨寺の見学スポットを紹介しています。
須磨寺とは?
須磨寺の正式名は上野山福祥寺(じょうやさんふくしょうじ)といいますが、
古くから「須磨寺」の通称で親しまれてきた新西国第24番札所、真言宗のお寺です。
真言宗は、9世紀初めに弘法大師(こうぼうだいし)・空海(くうかい)が開いた仏教の宗派のひとつで、
「お大師さま」と親しまれています。
平安時代初期、漁師が兵庫区和田岬の沖で聖観世音菩薩像を引き揚げ、淳和天皇の勅命により、
兵庫区会下山の恵偈山北峯寺が建立され、そこに安置されました。
その後、886(仁和2)年、光孝天皇の勅命により聞鏡上人(もんきょうしょうにん)が、勅七堂伽藍(がらん)を
建立して聖観世音菩薩像を遷し、本尊としてお祀りしたのが須磨寺の創立と伝えられています。
仁王門をくぐって境内へ入ると弘法岩五鈷水があり、ここで手を清めます。
右手奥には千手観音菩薩がお祀りされています。
境内の見どころ
境内には、平敦盛遺愛の「青葉の笛」や敦盛首塚、敦盛首洗池、義経腰掛の松、弁慶の鐘などの史跡や、
敦盛の最期を再現した「源平の庭」、ユニークな石像、数々の祈りの場が存在します。
また、この地を訪れた文人が残した多くの作品が刻まれた碑を所々で見ることができます。
本堂
本堂は、1602(慶長7)年に豊臣秀頼の命で片桐且元により再建されたもので、阪神淡路大震災の被災の後、2005(平成17)年に修復が行われ現在に至ります。
堂内にある宮殿(くうでん=仏像を祀る御殿)は、1368年(応安元年)の建造で国指定重要文化財に
指定されており、下層が唐様、上層が和様の折衷様という珍しい形式です。
おもろいもんめぐり
須磨寺の境内にある「おもろいもんめぐり」は、おもろい寺にしたいという住職の希望で、
色々とユニークなものが置かれています。
一願成就の大数珠
本堂西の弘法大師を祀る「大師堂」のスロープ裏にある結縁数珠。
通常、数珠は仏様を拝む際に使うブレスレットほどの大きさですが、これは巨大で重さがあり、
肩にかけてひとつだけ願い事をすると、お大師さまが叶えてくれるといわれる「一願成就の大数珠」です。
ひとりでは支えきれない重さなので、娘に手伝ってもらいました。
肩こりにもきくそうです。
ぶじかえる
首と目玉が回る仕掛けの「ぶじかえる」。
借金で困っている人が首を回すと願いが叶うといいます。
「びっくりしたい場合は目玉を、借りたお金で困っている場合は首を回してください」
驚いたときは目を回すといい、借りたお金が返せず困り果てていることを、
借金で首が回らないという日本語の言い回しが使われています。面白いですね。
七福神マニコロ
ぶじかえるの近くにある七福神マニコロは、亀の背中に乗った七福神を回しながら拝みます。
結構回しにくかったです。
マニコロ(チベット語)とは、マニ車(摩尼車)のことで、主にチベット仏教で用いられる仏具ですが、
日本では、真言宗、天台宗、浄土宗などの大本山などに大型のものが設置され、
輪蔵(りんぞう)と呼ばれています。
須磨寺の参道に創設された「祈りの回廊・亜細亜万神殿」で、マニ車(摩尼車)を見ることができます。
五猿
「見ざる・聞かざる・言わざる」の三猿ではなく「五猿」がいます。
頭をなでるとセンサーがついていてお猿さんが動くハイテクな五猿さんです。
五猿の由来
・ためにならない態度を見ざる
・ためにならない事を言わざる
・ためにならない話を聞かざる
・ままにならない事を怒らざる
・まんまんちゃんは善い行いも悪い行いも見て五猿
この他、源平モチーフの「からくり時計」、亀の背中にのった「七福神マニコロ」、
かわいい「わらべ地蔵」などがあります。
源平史跡めぐり
須磨寺の名前が全国的に知られるようになった大きな要因とされる源平一の谷合戦。
800年前、一の谷合戦が行われた時、須磨寺は源氏の大将源義経の陣地であったと伝えられています。
海と山がせまった地形を利用し、海側に陣を構えた平家の裏をかき、義経は山から崖を馬で駆け下り、
逆落としの奇襲をかけ、不意を突かれた平家は海へと逃げ、源氏の歴史的な勝利となりました。
源平の庭
境内には、絵画のように美しい庭園が造られています。
この「源平の庭」は、当時16歳の平敦盛が一の谷の浜辺において、源氏の武将熊谷直実に討たれた
一騎討ちの場面を再現しています。
庭の角には弁慶が「一枝を伐らば一指を剪るべし」と制札を立てた、「若木の桜」が植えられています。
敦盛公首洗いの池と義経腰掛けの松
一の谷の合戦後、源義経公が座って敦盛公の首と笛を実検したといわれる松と首実検の前に
敦盛公の首を洗い清めたとされる池です。
弁慶の鐘
一の谷の合戦の際、弁慶が山田庄安養寺から長刀の先に掛けて担いで来て陣鐘の代用にしたという鐘。
この鐘は一の谷合戦八百年記念に複製した新鐘で、旧鐘は宝物館に展示されています。
敦盛塚(あつもりづか) (首塚)
この首塚(五輪塔)は、1184(寿永三)年二月七日に起きた一の谷の戦いで、熊谷直実に討たれ
戦死した平敦盛の菩堤を弔う為に建立されたものです。
須磨浦公園にある『敦盛塚』には胴体が祀られているそうです。
24基の句碑・歌碑
境内には芭蕉や与謝蕪村をはじめ、24基の句碑・歌碑が置かれています。
宝物館
平家物語で、平敦盛が吹いていたとされる笛「青葉の笛」、一ノ谷の戦いに関する絵画、
敦盛の供養のために出家した熊谷直実(蓮生坊)の制作した平敦盛像や須磨寺の歴史的宝物が
展示されています。
三重塔
1984(昭和59)年、弘法大師千百五十年御遠忌、須磨寺開創千百年、平敦盛卿八百年遠忌を記念して
400年前の文禄大地震の際に倒壊した旧塔が再建されました。
2014(平成26)年の修復で塗り替えられているので、とても鮮やかです。
室町時代様式を基調とし、内部には大日如来を祀られています。
塔の周りには「四国八十八カ所お砂踏み霊場」があり、各札所の砂をガラス越しに踏んでお詣りが出来ます。
祈りの回廊・亜細亜万神殿
山陽電車「須磨寺駅」、JR「須磨駅」からすめ寺へ向かう参道の太鼓橋「龍華橋」を渡る手前に
「亜細亜万神殿(あじあばんしんでん)」という新たな祈りの場が造られています。
この施設の建築中にネパールで震災が起きたことから、首都カトマンズにあるスワヤンブナート寺院の
「ストゥーパ」を模して、祈りの中心としたそうです。
回廊には、須磨寺に寄進されたアジア各地で収集された神仏の石像が並べられています。
御朱印について
御朱印は寺務所・納経所でいただけます。
平敦盛とサクラのオリジナルデザインの素敵な御朱印帳があります。
他のいくつかのお寺で、「書きやすいですね。」と評判が良かったです。
御朱印は8種類あります。
・新西国霊場
・十八本山霊場
・神仏霊場
・摂津八十八・摂津西国福原西国
・神戸七福神霊場
・神戸六地蔵霊場
・神戸十三佛霊場
・新西国霊場御詠歌
初穂料:各300円
どれをいただけば良いかわからなかったのですが、新西国霊場「大悲殿」が、
一番書かれている御朱印だそうです。
その他、祈願ろうそくやお守り、おみくじなども、こちらでいただけます。
駐車場からの絶景
駐車場からは、明石海峡を挟んだ淡路島を見ることができます。
基本情報
須磨寺 (すまでら)
所在地:神戸市須磨区須磨寺町4丁目6-8
開門時間:8:30~17:00
拝観料:すべての施設無料
公式サイト
[ 交通アクセス ]
山陽電車「須磨寺駅」から徒歩で7分、JR「須磨駅」から徒歩12分
駐車場:無料(30台)
まとめ
いかがでしたか須磨寺?
須磨寺は、歴史ある由緒正しいお寺である一方、ユニークな物を設置したり、
YouTubeで講話を発信したりと、ほかのお寺にはない企画が見られます。
このページで紹介した以外にも、まだたくさん紹介しきれなかった見どころが存在するので、
機会を見つけてお参りしようと思います。
また、須磨寺の近くには 須磨離宮公園 という、もとは皇室の別荘であった敷地が、
美しい都市公園になっており、バラ園としても有名なので、あわせて見学してはいかがでしょうか?