街全体が世界遺産となっているチェコの首都プラハは、「建築博物館」とも呼ばれるほど、ロマネスク、
ゴシック、ルネッサンス、バロック、アールヌーヴォーなど様々な美しい建築様式の建物が見られます。
街自体は大きくありませんが、城、修道院、教会、シナゴーグなど見学スポットが充実しているので、
東側の旧市街の見学スポット9か所と、西側のプラハ城周辺と東側の新市街の9か所を、
2日に分けて紹介していきます。
プラハ観光に必要な日数
観光都市として知られるプラハの街には、興味深い見学スポットが沢山あります。
プラハの街自体はそれほど大きくないので、主要観光スポットを建物の外から見学すれば
1日で廻わることもできますが、プラハ城やユダヤ人地区などを見学したり、
時計塔の展望テラスからの美しい景色や夜景を楽しむなら、2日は必要だと思います。
プラハは公共交通網が行き届いており、メトロやトラム、バスなどの待ち時間も少なく、
楽々と観光スポットへのアクセスができるので、徒歩と組み合わせて利用することをお勧めします。
1日目は、プラハ歴史地区の旧市街広場周辺とユダヤ人地区を徒歩で観光していきます。
ユダヤ人地区「ヨゼフォフ」
東欧最大のユダヤ人街の「ヨゼフォフ(Josefov)」は、かつてゲットーとされた場所です。
16~17世紀に繁栄を極め、シナゴーグやユダヤ教に関する博物館、墓地などがプラハ歴史地区の一部として
ユネスコの世界遺産に登録されています。
旧新シナゴーグ
場所:Maiselova 18, 110 01 Praha 1-Staré Město
旧新シナゴーグ(Staronová synagóga)は、13世紀に建てられたヨーロッパ最古のシナゴーグで、
現在も礼拝に使用されています。ギザギザの屋根が強く印象に残ります。
新シナゴーグと呼ばれていたのですが、新しいシナゴーグが建てられたので、
旧が付け加えられて旧新シナゴーグと呼ばれるようになりました。
そして、「ゴーレム伝説」が残るシナゴーグでもあります。
政治にあまり興味のなかく、芸術と魔術に大いに興味を持った神聖ローマ皇帝ルドルフ二世と
同じ時代に存在した宗教的指導者ラビ・レーヴが魂を吹き込んだ泥人形ゴーレムが、
ユダヤ人を守るために夜のプラハの街で暴れ、使命を終えたゴーレムは泥人形に戻り、
旧新シナゴーグの屋根裏部屋で眠るという「ゴーレム伝説」です。
ヨゼフォーフのシナゴーグや博物館、墓地の見学コースとチケットの購入について別のページで詳しく
解説しています。
フランツ・カフカ記念碑
場所:Dušní, 110 00 Praha 1-Staré Město
2021年まで修復工事中のスペインシナゴーグの斜め前に建つ「変身」で有名な、プラハ出身の作家
フランツ・カフカの像。
ヨゼフォフ地区からパリ通り(Pařížská)を通って、旧市街広場へ 向かいます。
この通りには、ルイ・ヴィトン、ディオール、グッチ、プラダ、エルメス、ブルガリ、
ローレックスなどの高級ブランド店が並びます。
中には、建物の外からでもパスワードなしでWi-Fiに接続できる店もあるので、緊急時には役に立ちますよ!
聖ヤコブ教会
聖ヤコブ教会 [ Bazilika sv. Jakuba ]
場所:Malá Štupartská 635/6, 110 00 Praha-Staré Město
見学時間:9時30分~12時00分, 14時00分~16時00分
オリジナルは、13世紀にフランシスコ会によって建てられたゴシック様式の教会。
火災で崩壊後、バロック様式で17世紀末に再建されています。
右手の身廊には、400年前聖母の像から宝石を盗もうとした泥棒の手首のミイラ化したものが
展示されています。聖母の像から宝石を盗もうとして像から手が離れなくなり、
監視人が手首を切り落とすことによって自由になれたそうです。
市民会館
市民会館 [ Obecní dům ]
場所:nám. Republiky 5, 111 21 Praha 1-Staré Město
公式サイト
火薬塔の並びにあるアールヌーヴォ様式の華やかな装飾が施された建物は、1918年チェコスロヴァキアの
独立宣言がされた市民会館です。
内部には、レストランやプラハの春国際音楽祭の会場となるスメタナホールが入っており、
その他にも数々のコンサートが開催されています。
ガイド付きの館内見学ツアー(チェコ語、英語、フランス語)のみ見学可能です。
火薬塔
火薬塔 [ Prašná brána ]
場所:nám. Republiky 5, Staré Město, 110 00 Praha 1
見学時間:10:00~18:00(11月~2月)、~ 20:00(3月、10月)、 ~22:00(4月~9月)
入場料:100 czk
公式サイト
旧市街の入り口に立つ重厚感のある巨大な塔は、1475年に建てられたゴシック様式の火薬塔。
高さ65mの塔が新市街と旧市街を分けており、17世紀以降には火薬の保管庫として
使われていたことから「火薬塔」と呼ばれています。
現在、博物館として利用されています。
聖母の家
黒い聖母の家 [Dům U Černé Matky Boží]
場所:Ovocný trh 19, 110 00 Praha 1-Staré Město
キュビズム建築の代表作「黒い聖母の家」。
キュビズム建築が存在するのは、世界中でプラハにしか存在しないそうです。
旧市街広場
旧市街広場(Staroměstské náměsti)
場所:Staroměstské nám., 110 00 Praha 1-Staré Město
旧市街広場は、ショップやレストラン、カフェなどが立ち並び大勢の人でにぎわう広場です。
11世紀頃から教会や商人たちの住居などが建てられるようになり、徐々に広場が形成されていきました。
広場に面して 旧市庁舎と天文時計塔、ティーン教会、聖ニコラス教会などの歴史的建造物が
立ち並び、政治や集団処刑の場所にもなったプラハの重要な歴史を語る広場でもあります。
広場中央には、15世紀プラハでの宗教改革を行ったプロテスタントの指導者であるヤン・フスの像。
彼の500年周忌の1915年にプラハ市民の寄付金によって製作され、彼の視線をティーン教会へ向けるように
設置されています。
天文時計塔付近には、27の白い十字架
この一角は、1620年にハプスブルク家から独立しようとして反乱を起こした
「貴族の反乱」で処刑された、ボヘミア貴族27人の生首が置かれた場所を示したものです。
ティーン教会
ティーン教会[Chrám Matky Boží před Týnem]
場所:Staroměstské nám., 110 00 Praha 1-Staré Město
見学時間:10:00〜13:00 15:00〜17:00
入場料:寄付金 € 1
メルヘンの世界に出てくるような2本の尖塔が印象的なゴシック様式の教会。
建物が教会の入り口を隠すように建てられているので、教会の外観が見えないのが残念です。
これには15世紀に勃発したフス戦争が関係しています。
フス派(プロテスタント)の本拠地であったティーン教会がカトリックに改宗した際、
フス派が侵入できないように、厳重に建物で囲って入り口を隠したのです。
内部は、バロックとルネッサンス様式で装飾されています。
本当によく隠されていて、入り口がわからず教会の周りをぐるっと一周することになりました。
諦めかけたころに、レストランとテラスの間に入り口らしきものがあるのを見つけました。
旧市庁舎と天文時計塔
旧市庁舎 [Staroměstská radnice] と 天文時計塔 [Pražský orloj ]
場所:3, Staroměstské nám. 1, 110 00 Praha-Staré Město
見学時間:旧市街市庁舎 (月) 11:00~19:00、(火~日) 9:00~19:00
市庁舎塔 (月) 11:00~22:00、(火~日) 9:00~22:00
入場料:250 czk
公式サイト
14世紀に旧市街の自治オフィスとして創立されてから、徐々に歴史ある5つの建物が統合されることにより、
ほぼすべての時期の建築様式を見ることができます。
15世紀初頭に制作された精巧な天文時計は、9時から23時までの1時間おきにキリストの
12使徒が現れる仕掛け時計になっており、多くの人々の注目を集めています。
複雑に構成された文字盤の上では、現在時と月の満ち欠けなどを示す
古代チェコ時間も示すようになっています。
あまりにも素晴らしい出来の天文時計の作者ハヌシュは、「うちにも是非作って欲しい」
という引き抜きの話が上がり、ハヌシュは主人から引き抜かれないように、
目をつぶされてしまったという伝説が残されています。
仕掛け時計の下には、黄道十二宮のシンボルが描かれています。
天文時計塔へは、左側のインフォメーションの建物の中から入ります。
エレベーターで3Fへ上がるとチケットオフィスがあるので、ここで購入し塔へのエレベーターで
展望テラスまで上がります。展望テラスからは、360度プラハの街並みを見ることができます。
ティーン教会や旧市街広場方面の景色
正面には旧市街の聖ニコラス教会とヨゼフォフ地区
レンガ色の屋根を持つ中世の街並みの中には、「百の塔の街」といわれるように高い塔が所々飛び出して
見えます。
ヴァーツラフ広場
ヴァーツラフ広場 [Václavské náměstí]
場所:Václavské náměstí 110 00 Praga 1
チェコの民主化を語るには欠かせないヴァーツラフ広場。
「プラハの春」が起こった際、ソ連を中心とするワルシャワ条約機構軍が戦車で乗り込み、
民主化運動は頓挫したが、のち1989年に100万人のプラハ市民が広場に集まり、
無血民主化運動「ビロード革命」を果たしました。
新市街の中心であるヴァーツラフ広場は、現在プラハ随一の繁華街であり、
長さ750m、幅60mの大通りには、ショップ、ホテル、レストランがぎっしりと建ち並んでいます。
この通りは、国立美術館までまっすぐに続いています。
プラハのホテル選び
私たちの宿泊したのは、地下鉄 Mustek 付近の繁華街にある「Prague inn」です。
プラハは比較的ホテルの料金も安価で安全な街ですが、夜は立ち寄らないほうがいい所や危険地区とされている場所もあります。空港からバスと地下鉄で簡単にアクセスでき、大勢の人が行き来し、ショップやスーパー、
飲食店の立ち並ぶ便利な場所を選びました。
バスタブ付きの広々とした部屋で、ケトルとティーバッグなどが用意されてあり(無料)、冷蔵庫には
あらゆる種類の飲み物(別料金)が用意されていて、必要時には便利です。
Wi-Fiの接続もよく、テレビは衛星放送以外にNetFlixも観ることができました。
私たちが利用したのは1月のローシーズンなので料金は時期にもよりますが、旧市街にある4つ星ホテルが、
1泊€50前後で宿泊できるのは魅力的です。
1日目のプラハ観光はこれで終了です。
翌日は、プラハ城周辺を中心に廻るコースです。