東大寺は大仏さんだけじゃない⁈世界最大級の木造建築と仏像群!

Todaiji, Nara近畿

奈良の大仏さんで有名な東大寺は、学校の遠足や修学旅行で訪れた人も少なくないと思います。

広大な敷地をもつ奈良公園内に位置する東大寺は、華厳宗(けごんしゅう)の大本山であり、
その境内には、木造建築としては世界最大級の「東大寺大仏殿」や「南大門」、お水取りで有名な
「二月堂」など、多数の国宝・重要文化財の建造物や仏像を所持していることでも知られています。

「古都奈良の文化財」のひとつとして、1998年に世界遺産に登録された東大寺の見学スポットや
歴史、御朱印について紹介します。

東大寺とは?

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ここで東大寺の歴史を簡単に説明したいと思います。

東大寺が建立されたのは、奈良時代の752年(天平勝宝4年)です。

聖武天皇が、幼くして亡くなった皇太子基親王の菩提を弔うために728年(神亀5年)、若草山の麓に
金鍾山寺(きんしょうさんじ)を建立しました。

この金鐘山寺において、のちに東大寺初代別当となる良弁 (ろうべん) が主宰して、
我国で初めて『華厳経(けごんきょう)』の講説が実施されました。

その後、741年(天平13年)には、国分寺(金光明寺)と国分尼寺(法華寺)建立に伴い、
金鍾山寺が昇格して大和国金光明寺(やまとのくにきんこうみょうじ)となるのが東大寺の前身です。

後に大仏造立が始まり、752年(天平勝宝4年)に大仏開眼供養会が行われ、
758年(天平宝字2年)に大仏殿が完成しました。

天平時代は華やかな反面、政変、干ばつ、飢饉、凶作、大地震、天然痘の大流行など惨憺な時代でもあり、
その背景の中で、行基(ぎょうき)という僧侶の働きによって、聖武天皇は大仏建立という
国家事業を成し遂げました。

奈良時代には大仏殿・講堂・中門・南大門・東西2基の七重塔などの伽藍が立ち並ぶ大寺院へと発展しますが、火災や災害、戦闘に被害で何度も焼失再建を繰り返し、現在の東大寺へと至ります。

現在は華厳宗の大本山とされていますが、奈良時代には華厳・法相・律・三論・成実・倶舎の「六宗兼学」、
平安時代には空海の真言、最澄の天台が加わり「八宗兼学」の寺院とされていました。

ご本尊は「奈良の大仏」として知られる国宝の「銅造盧舎那仏坐像」(るしゃなぶつ)です。

見学の前にすること

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東大寺の南大門をくぐるとすぐ左手に東大寺ミュージアムがあります。

ここでは、奈良天平の東大寺の創建から江戸時代まで続く長い歴史や、国宝・重要文化財など
貴重な彫刻・絵画・書跡・工芸などが展示されているので必見です。

東大寺ミュージアムの無料スペースで、ショートフィルムを見る!

無料スぺースでみれる映像は、東大寺の歴史が分かりやすく説明されているので、
東大寺参拝前に見ておくのがおすすめです。

無料休憩スペースでは、ミュージアムショップ、カフェ、トイレが利用できます。

また、ミュージアムショップには、東大寺の至宝の数々を模したクリアファイルやしおりなど、
ここでしか手に入らないお土産を見つけることもできます。

東大寺ミュージアム [ Todaiji Museum ]

所在地:奈良県奈良市雑司町406-1
開館時間:9:30〜17:30(4〜10月)、9:30〜17:00(11〜3月)
閉館日:無休
入場料:大人(中学生以上)600円、小学生300円
* セット券(大仏殿+東大寺ミュージアム):大人(中学生以上)1,000円、小学生400円
東大寺ミュージアム公式サイト

東大寺の見どころ

南大門

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国宝に指定されている南大門。創建時の門は平安時代に倒壊してしまい、現在の南大門は鎌倉時代に
重源上人(ちょうげんしょうにん)によって再建されました。

大仏様(だいぶつよう)という宋の建築様式が取り入れられており、基壇上25.46メートルという
高さを誇ります。

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内門の左右には、力強い金剛力士像が配置されています。

この金剛力士像は、天才仏師の運慶(うんけい)と快慶(かいけい)によって作られた鎌倉彫刻の
代表作で、力強い目鼻立ちと筋肉、手足の動きが表されており、躍動感がみなぎっています。

1体約3,000ピースもの部材を接合する寄木造り(よせぎづくり)という緻密な作業で作られた像は、
それぞれ8.4メートルの高さがあり、今にでも飛び出してきそうな迫力があります。

東大寺大仏殿

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南大門を抜けてまっすぐ進むと中門があり、その奥に大仏殿があります。

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大仏殿は国宝に指定されている、高さ約48m、幅約57m、奥行約50mの木造建築です。
奈良時代に建立された大仏殿は2度にわたって焼失し、現在の建物は江戸時代に建てられたものです。

再建の際に柱材が調達できず、3分の2の大きさになってしまったそうですが、
それでも木造建築としては世界最大級というのですから、オリジナルのスケールの大きさが想像できます。

大仏様

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大仏殿に入ると、東大寺のご本尊「大仏様」が穏やかな表情で鎮座しています。

大仏様の正式名は盧遮那仏(るしゃなぶつ)といい、高さ約15mという大きさで、顔の幅は3.2m、
右の掌の長さだけでも2.56mという巨大な仏像です。

大仏様というと奈良と鎌倉を思い浮かべます。
どちらも大きいですが、奈良の大仏様の方がひと回り大きく、体重も鎌倉の大仏様の2倍あるんです。
正面からだけでなく大仏様の周りを一周して、その大きさをより実感できます。

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大仏様の手に注目してみましょう。
右手を前に向け、もう一つの手を受けるようにしています。

これには意味があり、手のひらを前に向けている右手は施無畏印(せむいいん)といい、
「恐れなくてもよい」と相手を励まし、手のひらを上に向けて受けている左手は与願印(よがんいん)
といい、人々の願いを受け止めて叶えてくれることを表しているそうです。

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大仏様の横には、2体の仏像が鎮座しています。

左は虚空蔵菩薩坐像(こくうぞうぼさつざぞう)、右は如意輪観音菩薩坐像(にょいりんかんのん
ぼさつざぞう)です。虚空蔵菩薩坐像は拝むと記憶力が良くなると言われ、如意輪観音坐像は
願いを叶えてくれ、あらゆる苦しみから救ってくれると言う慈悲深い仏さまです。

東大寺創建当初のレプリカ

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1910年、ロンドンで開かれた日英博覧会に出展した、東大寺創建当初のレプリカが展示されています。
これは、東大寺創建当初の50分の1に縮尺されたものです。

このレプリカを見る限り、大仏殿の両脇には、今は存在しない7重の塔が建っていたことが分かります。

平安時代編さんの「東大寺要録」や「朝野群載」などによると、東大寺には8世紀半ば、
100メートル級の大型の東塔と西塔が建てられていたそうです。

ところが平安中期に西塔を焼失し、その後1180年には、平清盛が五男の重衡に源氏と連携し始めた
南都の追討を命じ、焼き打ちで東塔も焼失してしまいました。

鎌倉時代に高僧・重源によって東塔が13世紀に完成しましたが、再度落雷で焼失してしまいました。

仏教の守護神・四天王像

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大仏殿の奥に歩みを進めると、仏教の守護神・四天王像のうちの2体が立ちはだかっています。

まず北西端に「広目天立像(こうもくてんりゅうぞう)」(写真左手)、そして北東端には
「多聞天立像(たもんてんりゅうぞう)」です。

像の高さは約5メートルもあり、見上げると思わず息をのむような迫力があります。

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四天王というのですから4体あるはずですが、残りの2体「持国天(じこくてん)」と
「増長天(ぞうじょうてん)」は、頭部のみが置かれています。

穴くぐり

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大仏殿の奥にある一本の柱には、穴が開いているのが見られます。
これは、高さ約37cm、幅約30cmの大仏様の鼻の穴と同じくらいの大きさで、くぐり抜けると
厄除けになるといわれていて、子供の頃この穴をくぐったのを覚えています。

現時点では、コロナの影響で穴が塞がれているので、穴くぐりにチャレンジすることができません。

 

大仏殿でいただける御朱印

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東大寺では御朱印をいただける場所が13ヶ所もあるようです。

大仏殿では、華厳の御朱印をいただきました。
そして、御朱印コレクターで有名な篠原ともえさんがデザインした表面が大仏様、
裏面に鹿の鮮やかな御朱印帳(2000円)もいただいてきました。

御朱印料は300円です。

法華堂 (三月堂)

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東大寺において、現存する数少ない奈良時代の建築物です。
東大寺の前身寺院のお堂として建てられ、当時は羂索堂(けんさくどう)と呼ばれていました。
のち旧暦三月に「法華会(仏教行事)」が行われるようになり、法華堂または三月堂と
呼ばれるようになりました。

東大寺建築の中で最も古いお堂で、ご本尊の不空羂索(ふくうけんさく)観音をはじめとする梵天、
帝釈天、金剛力士(阿と吽)、四天王の4体、執金剛紳(年に一度しか見られない秘仏)の10体、
お堂のすべてが国宝です。

もとは、奈良時代に造られた寄棟(よせむね)造りの正堂と鎌倉時代に造られた礼堂(らいどう)が
軒を接して立つ配置でしたが、鎌倉時代になって、礼堂を入母屋(いりもや)造りに改築して
2軒をつなぎ、時代の異なる建築が高い技術で結ばれて、美しい調和を生み出しました。

二月堂

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二月堂は、良弁(ろうべん)僧正の弟子・実忠和尚が建てたものが、1667 (寛文7) 年の修二会中に
出火焼失し、現在のお堂は江戸時代に再建されたものです。

2005年(平成17年)に国宝に指定されました。

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旧暦二月に「お水取り(修二会・しゅにえ)」が行われることから、二月堂と呼ばれるようになりました。

修二会は、正式には十一面観音悔過法要(じゅういちめんかんのんけかほうよう)といい、奈良時代から
続く伝統行事で、毎夜、道明かりとして松明を持った童子が練行衆(れんぎょうしゅう)を先導します。

3月1日から14日まで、旧暦の2月に行わわれるこの行事は、1200年以上欠かさず続けられてきました。

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小高い丘の上に立つ本堂からは、大仏殿の向こうの奈良盆地や生駒山の絶景が望めます。

懸崖造りという廻廊を張り出した高度な建築技術が使われた本瓦葺きで、精緻な美しさと風格を
あわせ持ったお堂です。ご本尊は、大観音、小観音と呼ばれる2体の十一面観音像です。

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二月堂は拝観時間の規制がなく、無料で見学できます。

 

二月堂でいただける御朱印

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二月堂の御朱印授与所は、石段を登ってすぐ右手の手水舎の手前ににあります。

二月堂でいただける御朱印は、「南無観」、「観自在」、「観音力」と西国三十三ヶ所の
観音霊場であることから、御詠歌の御朱印も頂けます。

御朱印料は300円です。

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東大寺基本情報とアクセス

所在地:奈良県奈良市雑司町406-1
拝観時間:大仏殿、法華堂、戒壇堂 7:30〜17:30(4〜10月)、8:00〜17:00(11〜3月)
閉館日:無休
入場料:大仏殿、法華堂・戒壇堂、各所ごとに料金がかかります。
大人(中学生以上)600円、小学生300円
*セット券(大仏殿・東大寺ミュージアム):大人(中学生以上)1,000円、小学生400円
東大寺公式サイト

交通アクセス

JR大和路線・近鉄奈良線「奈良駅」から市内循環バス「東大寺大仏殿・春日大社前」下車徒歩約5分、
または「近鉄奈良駅」から徒歩約20分

まとめ

東大寺といえば、奈良の大仏さんを思い浮かべますが、ここで紹介したのは東大寺のほんの一部です。
御朱印所だけでも13ヶ所もあり、すべてのお堂を見て回ると、1日はかかってしまいます。

仏像だけでも50を超える国宝・重要文化財が所蔵されているそうですし、建造物ひとつとっても
奈良・鎌倉時代のものというのですから、貴重な歴史的建造物をまじかで見学できるチャンスです。

また、東大寺の近くには「古都奈良の文化財」として、世界遺産に登録されている春日大社や
興福寺などをお参りしたり、奈良公園で鹿とお散歩を楽しむのも奈良の良い思い出になると思います。

とにかく奈良の建造物はスケールが大きく見学に時間もかかるので、時間にゆとりを持った
計画をたてましょう。

 

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