ローマで無料で見学できるバロック絵画の先駆者「カラヴァッジョ」の作品

caravaggioイタリア

有名な画家の絵は美術館や入場料を支払う教会の中でしか見れないと思っていませんか?
嬉しいことに、このローマでは偉大な芸術家の残した作品が、街の広場や入場料を支払わずに入れる
教会の中で見学できます。

このページでは、イタリアの都市国家を転々と流浪しながら数々の秀作を残し、38歳という短い人生を
波乱万丈に生きたバロック絵画の先駆者・カラヴァッジョの6作品が無料で見学できるローマの
3つの教会を紹介します。

カラヴァッジョって誰?

caravaggio

まず、カラヴァッジョを知っておきましょう。

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(Michelangelo Merisi da Caravaggio1571~1610年)
は、徹底したリアリズムと明暗を強調した手法で、新しい美術様式を確立したバロック絵画の先駆者です。

カラヴァッジョの比類のない絵画技術は、バロックの巨匠であるルーベンスや、
レンブラント、ベラスケスにも強く影響を与えました。

カラヴァッジョの生涯

ペストによって父を失ったカラヴァッジョは、13歳の時にミラノの画家
シモーネ・ペテルツァーノの弟子となります。

21歳の時に喧嘩が原因でミラノを離れ、ローマで工房を渡りながらの貧しい放浪生活の後、
フランチェスコ・デル・モンテ枢機卿に認められ、枢機卿のもとで静物画、風俗画、
のちに祭壇画や宗教画を書くようになります。

光と闇の卓越した手法により、教会や貴族からの注文が殺到し一躍人気画家となりましたが、
短気な彼の性格が災いしてトラブルが絶えませんでした。

20代の後半、枢機卿のもとを離れてから暴行障害や名誉棄損などで何度も逮捕されます。
1606年、カラヴァッジョ34歳のとき、決闘によって、とうとう殺人を犯してしまい、
死刑を宣告されたカラヴァッジョは、ローマから逃亡しました。

当時のイタリアは都市国家に分かれており、その地域を離れれば犯罪者として追われることは
なかったので、ナポリ、マルタ島、シチリア島など、南イタリアを転々と流浪しながら
行く先々で秀作を残しています。

カラヴァッジョは4年間の逃亡の末、恩赦の期待を抱きながらローマに戻る途中、
疲労と熱病により若干38歳で死を迎えました。

数十年経て、カラヴァッジョがイタリアの代表的な画家であることを証明するように、
ユーロに切り替わる前の10万リラ紙幣には、カラヴァッジョの肖像画と作品が印刷されました。

1万リラ札

カラヴァッジョの作品が見れるローマの3つの教会

サン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会

サン・ルイージ・ディ・フランチェージ教会、ローマ

サン・ルイージ・ディ・フランチェージ教会は、パンテオンとナヴォーナ広場の間にある
400年程の歴史のあるローマのフランス人管轄教会です。

この教会の左側通路の一番奥にあるコンタレッリ礼拝堂には、1599~1600年に制作された
キリストの12使徒の1人、聖マタイの生涯を描いた3部作があります。

聖マタイの召命

聖マタイの召命、カラヴァッジョ、ローマ

「聖マタイの召命 (Vocazione di San Matteo)」は、カラヴァッジョを一躍スターにさせた作品です。

「マタイによる福音書」の中で、イエスが収税所で働いていたマタイに声をかけ、
マタイがイエスの呼びかけに答えて、ついていったというマタイの召命にもとずいて描かれた作品です。

カラヴァッジョは、キアロスクーロよりもさらに強い明暗法のテネブリズムを使用することにより、
奥行きのある劇的なシーンを演出しています。

 

聖マタイの霊感

聖マタイの霊感、カラヴァッジョ、ローマ

「聖マタイの霊感 」は、最初「聖マタイと天使」というタイトルで描かれましたが、
依頼者がこの作品を気に入らず、天使と聖マタイの間に間隔を置き、
聖マタイの足元を衣服で隠すように描き直され「聖マタイの霊感 」になりました。

ちなみに「聖マタイと天使」は、第二次世界大戦時に焼失してしまったので見ることはできません。

 

聖マタイの殉教

聖マタイの殉教、カラヴァッジョ、ローマ

「聖マタイの殉教 (Martirio si San Matteo)」は、教会で説教中の聖マタイを刺客が襲った
シーンを劇的に描いています。カラバッジョは、多くの作品の中に自画像を描いていますが、
この絵画の中にも中央の刺客の左後ろに自画像を書いています。

礼拝堂には、中央に「聖マタイの召命」、左手に「聖マタイの霊感」、右手に「聖マタイの殉教」
の順で配置されています。

光と影の強いコントラストを使ったこの3部作は、
窓から射し込む自然の光に照らされることによって、より劇的なシーンを生み出しています。

場所:サン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会  [Chiesa di San Luigi dei Francesi ]
住所:Piazza di S.Luigi de Francesi Roma
見学時間:10:00~12:30 / 16:00~19:30
アクセス:バス 30、70、81、87、492、628 [Senato下車]

 

サンタ・マリア・デル・ポポロ教会

サンタ・マリア・デル・ポポロ教会、ローマ

サンタ・マリア・デル・ポポロ教会のチェラーシ礼拝堂の2面の壁を飾るのが、
カラヴァッジョの「聖ペトロの磔刑」と「サウロの改宗」。

サンタ・マリア・デル・ポポロ教会には、ダン・ブラウンの小説「天使と悪魔」の
最初の殺人現場の舞台となった「キジ礼拝堂」も必見です!

聖ペトロの磔刑

聖ペトロの磔刑 、カラヴァッジョ、ローマ

ペテロは、主キリストと同じように十字架にはりつけられるのは恐れ多いと、
自らの意思で逆さに十字架にはりつけられて処刑されるシーンを描いたものです。

「聖ペトロの磔刑 (Crocifissione di San Pietro1600~1601年)」は、カラヴァッジョの特徴である
強い明暗の手法を使い、4人の人物が浮き出すように描かれています。

十字架を支える人物の足の汚れまでリアルに描写され、十字架を支える様子などは、
見ている人間にまで重さが伝わってくるほど現実的に描かれています。

聖パウロの回心

聖パウロの回心、カラヴァッジョ、ローマ

「聖パウロの回心 (Conversione di San Paolo 1600~1601年)」は、ユダヤ教徒であったパウロが、
キリスト教を迫害する為にシリアのダマスクスへ向かう途中、
強い光に打たれて馬から投げ出され、目が見えなくなってしまった時に、
復活したキリストの声を聴き、これをきっかけに改宗したという出来事を題材にしています。

この作品も、光と影の強い手法で、登場人物にスポットライトが当てらてることにより、
劇的なシーンを生み出しています。

ちなみに、この「聖パウロの回心」の第一作目は、教会側が気に入らず、受け取りを拒否され、
再度描き直された第2作目が、現在飾られているものです。

サンタ・マリア・デル・ポポロ教会、ローマ

何故か、カラヴァッジョのライバルカラッチの作品と同じ礼拝堂に配置されています。

礼拝堂の中央にはカラッチの「聖母被昇天」が中央に配置され、聖母の広げる手でカラヴァッジョの
2作を両側へ押しやるような感覚を受けます。

場所:サンタ・マリア・デル・ポポロ教会  [ Santa Maria del Popolo ]
住所:Piazza del Popolo 12
見学時間:8:00~12:30/16:00~19:00
アクセス:地下鉄A線 Flaminio 下車 バス 61120F150F160[Villa Borghese/Washington]

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サンタ・アゴスティーノ教会

サンタ・アゴスティーノ教会、ローマ

サンタ・アゴスティーノ教会は、ナヴォーナ広場の近くにある14世紀に建てられた教会です。
教会のファサードは、フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ教会をモデルとして
設計されています。

教会の見どころは、ラファエロの「予言者のイサヤ(1512年)」と、
カラヴァッジョによって描かれた「ロレートの聖母(1604~1605 年)」です

ロレートの聖母

ロレートの聖母、カラヴァッジョ、ローマ

「ロレートの聖母」は、教会の左身廊側1番目のカヴァレッティ礼拝堂にあります。
二人の巡礼中の農夫の前に、裸足の聖母マリアと裸の幼児キリストの幻影が現れた様子を
題材として描いたものです。

この作品の聖母子のイメージは、本来の聖母子像とはかけ離れており、
簡素な光輪がなければ、聖母子かどうかもわからないような庶民的な姿は、
当時批難の的となり、聖母子を中傷しているとして、カラヴァッジョは投獄されました。

この聖母のモデルは、カラヴァッジョが恋した娼婦マッダレーナ・アトニエッティで、
彼女をめぐり小競り合いになり、殺傷事件になったといわれています。

ボルゲーゼ美術館に所蔵展示されている「聖アンナと聖母子(蛇の聖母) 」でも、
「ロレートの聖母」を思わせるような庶民的な聖母が描かれています。

場所:サンタ・アゴスティーノ教会 [ Chiesa di Sant’Agostino ]
住所:Piazza di Sant’Agostino
見学時間:7:45~12:00 / 16:00~19:30
アクセス:バス 30、70、81、87、492、628 [Senato下車]

まとめ

ローマの教会で見学できるカラヴァッジョの作品いかがでしたか?

教会への入場は無料なので、時間があれば必ず見たい作品です。

絵画のある礼拝堂は、基本的薄暗いので絵画がはっきりと見えません。
礼拝堂付近には、コイン(€ 2 ) を入れてライトアップするためにOffertaと表示されたボックス
(寄付金入れ)が設置されているので、訪問時にはコインを用意しておきましょう。

それから、教会の訪問時間に気を付けてください。
殆どの教会は、午前と午後の見学時間が決まっていて、12:30~16:00迄閉めてしまいます。
閉める時は待ったなしで追い出されてしまうので・・・

ここでは、ローマで無料で見学できるカラヴァッジョの作品を紹介しましたが、
このほかにもカラヴァッジョの作品をもっと見たい方は、ボルゲーゼ美術館では、「病めるバッカス」、
「 ゴリアテの頭を持つダヴィデ 」、「執筆する聖ヒエロニムス」、「聖アンナと聖母子(蛇の聖母)」、
カピトリーニ美術館では、「女占い師」や「洗礼者ヨハネ」など有料で見学できる場所があります。

 

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