イタリアの各都市によって日程が違うこともありますが、ローマでは毎月第一日曜日に州立、
市立の美術館が無料で見学できます。
ローマに住んでいても「近くにあるからこそ行かない...」という事もあって、
これまで行きそびれていた美術館の一つが「スパーダ宮(Palazzo Spada)」です。
カンポ・ディ・フィオーリ広場とローマを流れるテベレ川の間に位置し、2人の枢機卿が住居としていた
お屋敷の中庭には、ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ (Giovan Lorenzo Bernini) と肩を並べ、
イタリアのバロック建築で活躍した天才ボッロミーニのトリックアートを見ることが出来ます!
スパーダ宮とは?
スパーダ宮殿 (Palazzo Spada) は1540年頃にカーポ・ディ・フェッロ枢機卿によって建てられ、
当時「フェッロ宮殿」と呼ばれていましたが、1630年、ベルナルディーノ・スパーダ枢機卿が
この建物を購入し、現在の建物の名前となりました。
その後、イタリア政府に買い取られ、1951年に州立美術館として一般公開されました。
現在、館内の大半はイタリア政府の国務院として使われて、一部が「スパーダ絵画館(Galleria Spada)」
として公開されています。
スパーダ宮のみどころ
見どころは16~17世紀を中心としたスパーダ枢機卿の絵画のコレクションを展示する4室と、
ボッロミーニの遠近法を使ったトロンプ・ルイユ(仏)...現代でいうトリックアートです!
スパーダ枢機卿の絵画コレクション
天井画や装飾など中世のお屋敷の部屋をそのまま残して、展示されているのが興味深く、
ベルニーニ(Gian Lorenzo Bernini)、ティツィアーノ(Tiziano)、カラッチ(Carracci)、
グエルチーノ(Guercino)、グイド・レーニ(Guido Reni)などの作品も見られます。
ボッロミーニの遠近法の間
スパーダ宮の見どころは、何と言っても中庭にある『遠近法の間(Colonnata Prospettica)』です。
1653年~1654年にかけてフランチェスコ・ボッロミーニ(Francesco Borromini)によって設計された
アンドローネと言われる建物内を通過するアーチのある通路。
遠くに背の高さ程の像があるように見えますが、実際の像は90cmしかなく、8.82mしかない廊下を
37mの長さがあるように錯覚させるように遠近法が使われています。
横からだと仕掛けが分かりやすくなりますが、奥に行くほど柱の間隔が狭くなり、天井が徐々に低くなり、
床の高さがあがり、通路の幅が狭くなっていくボッロミーニの手法が見えます。
遠近法の間は、ヴィスコンティ家に仕えた建築家・数学者であった父親のアドバイスで設計したそうです。
天才ボッロミーニの作品の魅力は、シンプルな素材を使った細部へのこだわりや
限られた空間を幻想的に拡大する技法ではないでしょうか。
以前、パンテオンの近くにある サンティニャツィオ教会 の 中世の3Dアートを紹介しましたが、
遠近法を使って存在しないものを存在するように見せたはトリックアートはローマ時代から存在したそうです。
無料見学日について
美術館を無料で見学できるのは大変魅力的なことですが、予約しなければ入場できない場所や
予約ができなくて、ただひたすら長蛇の列に並ぶ場所もあるので、前もって調べていくことをお勧めします。
こちらの「スパーダ宮」は予約をする必要はなく、手数料も取られません。
建物の入り口から入場し、係りの人にチケットを渡してもらって入場します。
コロッセオのようにツーリストに有名な美術館ではないので、比較的すいています。
私が訪れた時は午前11時ごろでしたが、10分ほどの待ち時間で入れました。
ボッロミーニの「遠近法の間」を見るだけでも十分に価値のある場所なので、
ローマの観光コースに入れてみてはいかがでしょうか。
通常のチケットは、TICKETONE からもオンラインで購入できます。
基本情報とアクセス