年間約800万人以上の訪問者を迎える世界三大美術館の1つ「ルーヴル美術館 (Musée du Louvre)」。
美術鑑賞が好きな人でも、それほどでもない人でも、パリに来たら一度は訪れてみたい美術館ですが、
人気のある美術館だけあり、入場の為の長蛇の列ができていることでも有名です。
また、ルーヴル美術館には3万5000点のコレクションが展示されており、1日ですべて見ることは
到底不可能なので、訪問の前に見たい作品をチェックしておく必要があります。
このページでは、ルーヴル美術館の歴史や見どころなど行く前に知っておきたいことを紹介します。
ルーヴル美術館の歴史
ルーヴル美術館は、もともとフランス王家が利用していた建物です。
12世紀、フィリップ2世によって建てられた城塞が何度も改築した後、16世紀にフランソワ1世によって
宮殿に改築されルーヴル宮殿になりました。
その後、1682年にルイ14世が王宮をヴェルサイユ宮殿に移し、ルーヴル宮殿が王室美術品コレクションの
収蔵場所となり1793年に美術館として開館しましたが、建物の構造上の問題で1796年にいちど閉館し、
1801年に再度会館しました。
メインエントランス「ルーヴル・ピラミッド」
ナポレオン広場に建てられたガラスのピラミッドは、1989年に完成したルーヴル美術館の
メインエントランスです。
高さ20.6メートル、底辺35メートルの大きさがあり、鉄と603枚の菱形のガラス板、
70枚の三角形のガラス板合計673枚のガラス板で構成されています。
完成当時は、石造建築の中に鉄のガラクタを建てたということで大論争になりましたが、パリには、
このピラミッドの前にもエッフェル塔やポンピドゥーセンターなど、斬新な建築物が建てられています。
映像で見るルーヴル美術館
ルーヴル美術館を舞台に繰り広げられた映画やミュージックビデオなども、美術館により興味を惹かれます。
ルーヴル美術館の館内と広場を映し出したBeyonceとJAY-Zによるミュージックビデオ「The Carters」では、「モナ・リザ」や「サモトラケのニケ」「ミロのヴィーナス」など、美術史上のマスターピースが
次々と登場するシーンが見られます。
また、Netflixで配信されている『Lupin/ルパン』でも、ルーブル美術館のピラミッドや
イタリアルネサンス期の絵画などが撮影されています。
ルーヴル美術館で殺人が起きるシーンから始まったトム・ハンクス主演の『ダ・ヴィンチ・コード』や
真夜中の誰もいない美術館で撮影された『ルーブル美術館の夜―ダ・ヴィンチ没後500年展』など
美術館内やパリの街並みも登場します。
私は、美術や犯罪ミステリーが好きなので「アート・オブ・クライムー 美術犯罪捜査班」を見ていました。
ルーヴル美術館をはじめとするフランスの有名な美術館や文化遺産、歴史に触れられるミステリードラマで、
以前BSでも放送されていたと思いますが・・・
現地に行ったときに、「あっ!これ見たー」みたいに興味が倍以上になることは間違いないでしょう。
ルーヴル美術館で見逃せない作品
ルーヴル美術館には古代から19世紀前半まで、38万点以上のコレクションが所蔵され、「古代エジプト」
「古代オリエント」「イスラム」「古代ギリシア・ローマ・エトルリア」「彫刻」「工芸品」「素描・版画」「絵画」の8つの部門に分類されて、そのわずか一部が展示されていて、どちらかというと、
古典ヨーロッパアート、古代文明の歴史、宮殿などの装飾アートが好きな方にお勧めの美術館です。
3万5000点が403室に展示され、美術館の廊下を歩くだけでも合計14.5kmの距離があるといいます。
急ぎ足で回っても4日程はかかるらしいので、重要な作品だけでも押さえておきましょう。
ルーブル美術館で見逃せない作品は、モナ・リザ、ミロのヴィーナス、サモトラケのニケといわれますが、
作品だけでなく、長い歳月をかけて増改築を続けられた建物の造りや装飾、要塞であった初期の構造なども
みどころのひとつです。
サモトラケのニケ
美術館のエントランスを入るとまず目につく大型のギリシャ彫刻「サモトラケのニケ」です。
紀元前190年頃に制作された、ギリシャのサモトラキ島の神々の神殿にあった彫刻で、
ニケとはギリシャ語で「勝利の女神」という意味で、高さ3m以上もある彫像です。
発掘時にバラバラだった胴体部分をつなぎ合わせ修復されたそうですが、身体にまとった衣類の
しなやかな動きまで彫刻で表現されているのが素晴らしいです。
「サモトラケのニケ」を見るたびにルーヴルに来たんだなぁ~という実感がわきます。
ミロの「ビーナス」
地上階シュリー翼の角の古代ギリシアと古代イタリア・エトルリア展示の境目にあるミロのヴィーナス。
ギリシア神話のアフロディーテ(愛と美の女神)の像で、ルーヴルの三大至宝の一つです。
ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」
フランスロマン主義の巨匠ウジェーヌ・ドラクロワ (Eugène Delacroix) の代表作。
パリの民衆が起こした蜂起により、フランスのブルボン朝の最後の王シャルル10世を失脚させた
1830年の七月革命を主題にした作品です。
ドラクロワは自由と祖国を女性とあらわになった胸元で表現しているそうです。
教科書の「フランス革命」の説明で出てくる絵画なので、一度は見たことがあるはずです。
ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」
レオナルド・ダ・ヴィンチが1503年から1506年頃に制作した、ルーヴルで一番有名な絵画
「モナ・リザ」を見ないでは帰れません。
私は、それほどダ・ヴィンチファンではありませんが、行くたびに見に行ってしまいます。
ただし、これだけを見にルーヴル美術館に来る人もいるので、大勢の人で混みあっています。
美術館で?...と思いますが、パリの国立美術館はヨーロッパ国籍なら26歳まで、
それ以外の国籍は18歳まで無料で入れるので、無料で入れる年齢層のスリがいるようです。
荷物にはくれぐれも注意してください!
イタリア人画家の作品は、ダ・ヴィンチだけでなくラファエロやカラヴァッジョ、ジョット、ボッティチェリ、フィリッポ・リッピ、マンテーニャ、ヴェロネーゼ、ティツィアーノなども展示されています。
ヴェロネーゼの「カナの婚礼」
モナ・リザと同じ展示室に飾られているパオロ・ヴェロネーゼ(Paolo Veronese) 作の「カナの婚礼」は、
縦6,77mx横9,9mのルーブル美術館で一番大きな絵です。登場人物は100人を超えるそうです。
カラヴァッジョ「女占い師」
カラヴァッジョ(Caravaggio)によって描かれた「女占い師(Buona Ventura」です。
女占い師を装うジプシーが良家の若い男性の手を占うふりをして、指輪を抜こうとしているシーンです。
どこかで見たな~と思うと、ローマ・カピトリーニ美術館 に、同じタイトルで描かれた作品が
展示されてあったのを思い出しました。
待ち時間をさけて美術館に入場する方法
さて、年間800人以上の訪問者を迎えるルーヴル美術館は、いつも美術館に入る長蛇の列ができ、
計画を立てずに行くと、列に並ぶだけで大変な時間のロスになります。
この長蛇の列はセキュリティーチェックの列なのですが、チケットを事前に購入しておけば、
チケット所有者の列に並べるので待ち時間が少なくなります。
もちろん、当日に美術館内で購入することも可能です。
ルーヴル美術館の入り口について
ルーブル美術館の入り口は3つありますが、チケット所持の有無やグループ専用などで分かれています。
ピラミットの入り口 (中央入口)
ルーヴル美術館のメインエントランスにあたる、地上のピラミットの入り口で一番混む入り口です。
当日券を購入して見学される方は、ガラスのピラミッド入口の「Visitors without tickets」と書かれた
列に並んで入場できます。チケットはエントランスを入ってから購入可能です。
カルーゼル・デュ・ルーブルの入口
地下のショッピング街「Carrousel du Louvre」の逆さのピラミッド近くにある入り口です。
地下にあり寒さや雨をしのげて便利なのですが、近年、チケット所有者の専用入口になりました。
公式サイトや Get Your Guide などのチケット販売サイトで予約済の方や、パリミュージアムパス を
利用して予約済の方は、この入口の利用が可能です。
メトロでアクセスする場合は、メトロ1番線か7番線で「Palais-Royal Musée du Louvre駅」で下車し、
美術館(Musée du Louvre) や カルーゼル・デュ・ルーブル(Carrousel du Louvre)の案内に従って進むと
入口につながります。
地上からアクセスする場合は、カルーゼル凱旋門の左右にある階段を降りるか、リヴォリ通り沿いの
99番の建物「 Le Carrousel du Louvre」と書かれたところを地下に降りると美術館の入口へつながります。
パッサージュ・リシュリュー入口
こちらは、チケット保有者やグループのみの入口なので、通常個人は入れません。
クロークルームについて
無料の大きなロッカールームがあるので、55x35x20cm くらいの荷物は持ち込めます。
ロッカーには鍵がなく、暗証番号を自分で入れて使用するようになっており、
ロッカー付近に説明が書かれていますが、少し複雑で理解するのに時間がかかりました。
基本情報
場所:Musée du Louvre 75058 Paris
見学時間:月・ 水・木・土・日 9:00~18:00 / 金 9:00~21:45
休館日:火曜・1/1、5/1、12/25
料金:€ 22
入場無料:18歳未満 (パスポートの提示必須)、ヨーロッパ国籍は26歳未満まで
毎月第 1 金曜日の午後 6 時以降は無料 (7月・8月を除く)
最寄りの駅:地下鉄1、7番線 [Plais-Royal Musée du Louvre ]
公式サイト