ブリュッセルから日帰りで廻るアントワープの見学スポット!
![Antwerp, Belgium](https://i0.wp.com/readytoland.com/wp-content/uploads/2021/02/antwerp.jpg?fit=728%2C498)
アントワープといえば、私たち日本人にとってはアニメ「フランダースの犬」の舞台となった
街というイメージがありますが、バロックの巨匠ルーベンス(Peter Paul Rubens) の故郷でもあり、
ダイヤモンド研磨の聖地とも呼ばれるている都市です。
また、歴史のある名門芸術学院からは、多くの優れたデザイナーが輩出され芸術の街としても
知られ、素敵な街並みやショッピングを楽しむこともできます。
このページでは、ブリュッセルから日帰りで訪れたアントワープの半日観光スポットを紹介しています。
◊観光スポットの情報は更新していますが、写真は2019年に撮影したものです。
アントワープ滞在のめやす
ベルギーの北部に位置するアントワープは、ブリュッセルやアムステルダム、パリなど、
ヨーロッパの人気観光都市から高速列車を利用して短時間でアクセスすることができます。
街の見どころが旧市街に集中しているので、半日ほどあれば主要観光スポットを廻ることができるので、
ブリュッセルからの日帰りで訪れる旅行者が殆どですが、せかせかと旅をするのが苦手な方は、
1泊してゆっくりと観光するのがおすすめです。
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アントワープ中央駅
アントワープ中央駅は、フランスやオランダ、ドイツからの高速列車の発着する国際的な駅です。
あまりの美しさに「鉄道の大聖堂」とも呼ばれ、最も美しい駅の投票では常に上位をしめている
アントワープ中央駅は、1895年から1905年にかけて建設されました。
ベルギーの鉄道建築の傑作と言われ、 1975 年には国重要文化財に指定されています。
大きな8つのドームの載ったネオ・バロック様式の重厚な石造りの駅舎は、ブルージュ出身の
建築家ルイ・デラサンセリ(Louis Delacenserie) による設計です。
エレガントな大理石のホールとは対照的に鉄骨とガラスで構成された長さ185m、高さ44mの大規模な
トレインシェッドは、クレメント・フォン・ボガード(Clément Van Bogaert)によって設計され、
アール・デコの流れへつながるものとして評価されました。
プラットフォームは2000~2009年にかけて拡張工事が行われ、現在4階層に分かれています。
アントワープ中央駅は、アクションスリラー映画「陰謀のスプレマシー」や「名探偵ポワロ」など、
数々の映画やドラマのロケ地ともなっています。
アントワープ駅を出て市街中心部へ向かう途中、通りの両脇にダイヤモンドの店舗を多数見かけました。
というのも、アントワープはダイヤモンド取引が盛んな街で、研磨済みダイヤモンドと原石の取引量は、
総量の8割がアントワープを経由して世界へ輸出されていると言います。
そして、中央駅の近くには2018年に 州立ダイヤモンド博物館 がオープンし、ダイヤモンドの歴史、
地質学、鉱山、切断、研磨作業とその道具に関する展示を見ることができます。
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聖カルロス・ボロメウス教会
イエズス会の紋章(IHS)がファサードの中央に入った聖カルロス・ボロメウス教会は、
17世紀イエズス会によって建てられたバロック様式の教会。
ファサードのデザインや、祭壇画、39枚の天井画をルーベンスが手掛けたといいます。
残念ながら18世紀初期落雷による火事で内部が焼失してしまい、
オリジナルは正面ファサードしか残っていないそうです。
教会内部は、3身廊からなり中央の主祭壇とその両脇に2つの礼拝堂があり、
白い壁に金の美しい装飾がされています。
ルーベンスの祭壇画「エジプトから帰還する聖家族」
主祭壇用に書かれた「エジプトから帰還する聖家族」はウィーンにあったそうですが、
2017年にこの教会に戻され、ヨセフ礼拝堂の祭壇画として公開されています。
聖パウルス教会
ルーベンスやヴァン・ダイクなどの絵画があることで有名なカトリック教会です。
教会の外観は、ゴシック様式とバロック様式の塔で構成されています。
残念ながら時間が合わず、見学ができませんでした。
ヨーロッパの殆どの教会はお昼休みがあるので、あらかじめ見学時間を調べてからの訪問をお勧めします。
肉屋のギルドハウス
赤レンガと白砂岩のストライプの建物は、アントワープで最も古い肉屋のギルドハウスだそうです。
なんとなく、絵本で見る「巨人が住んでいるお城」をイメージするような興味深い建築様式です。
現在は、楽器の博物館になっています。
ステーン城
*2019年撮影。現在2024年リニューアルオープンしています。
スヘルデ川の近くにある絵本に出てくるような城塞「ステーン城 (Het Steen)」は、
アントワープ最古の石造要塞です。
記録によると 1200~1225 年の間に建てられたとされていますが、歴史はそれよりも古く、
中世初期のバイキングの侵入後に建設された可能性があるそうです。
2019年に訪れた時は修復工事中でしたが、現在は修復工事を終えてアントワープ歴史博物館、
ビジター センターとして機能しています。
かつては要塞、邸宅、裁判所、刑務所など様々な役割を果たしてきたそうです。
中世には街の住民を恐怖に陥れた巨人が住んでいたという伝説があり、城の入り口には巨人と2人の
人間のモチーフがあります。
城内の見学は有料ですが、外からは無料で見学できます。
マルクト広場
16世紀に建てられたルネッサンス様式の市庁舎や美しいギルドハウスの建ち並ぶ
『マルクト広場(Grote Markt)』
ギルドハウスの頂点のシンボルは、建物が何の組合に利用されていたかを見ることができます。
広場の中央には、彫刻家ジェフ・ランボー作のローマ戦士「ブラボーの像」
この街の最も有名な伝説をテーマにした噴水です。
伝説によると…
昔「ステルデ川の通行料を支払わなければ手を切り落とす」と市民を脅かした巨人がいたそうです。
ローマ戦士ブラボーは、その巨人の手を切り落とし川に投げ込んだという英雄エピソードがあります。
アントワープ(Antwerpen|アントヴェルペン)という街の名前は、オランダ語で「手を投げる」
という意味で、この伝説に由来しているとか…
聖母大聖堂
アニメ「フランダースの犬」でネロとパトラッシュが力尽きる最終回の舞台となった聖母大聖堂。
14世紀半ばに170年余りの歳月をかけて建てられた重厚感のあるゴシック様式の教会で、
ベルギーで最大級です。
私たちが訪れた時は修復中で見れませんでしたが、123mの高さを誇る大聖堂の鐘楼は、
「ベルギーとフランスの鐘楼群」としてユネスコ世界遺産に登録されています。
白を基調にした聖堂内には美しいステンドグラスとネロが憧れたバロックの巨匠ルーベンスをはじめ、
フランドルの画家によって描かれた多数の作品が規則正しく展示され、まるで美術館にいるようでした。
聖母大聖堂の中には、巨匠ルーベンスの祭壇画が4点あります。
教会内に見取り図付きのパンフレット(無料)が用意されているので、
それを見ながら見学すれば、気が付かず通り過ぎてしまったということもないでしょう。
中央祭壇には、ルーベンスの祭壇画「聖母被昇天」
左右の翼廊にある「キリスト昇架」と 「キリスト降下」は、三連祭壇画。
ステンドグラスを通して入る外からの光が幻想的で、神聖な空間をつくりだしています。
聖母大聖堂前の広場には、力尽きた「ネロと愛犬パトラッシュ」が安らかに横たわっています。
Batist Vermeulen氏によってアニメ風に制作されています。
このモチーフは日本人でこそネロとパトラッシュと分かりますが、海外では有名ではなく、
大勢の日本人が涙ながらに大聖堂を訪れる事から「フランダースの犬」が知られるようになったそうです。
けっこう大きな像なのですぐに目に留まりますが、街並みとマッチしないような感じがします。
石畳の毛布は重たそうだし、子供たちの遊び場になって踏みつけられているので、可愛そうな気がします。
ルーベンスの家
ベルギーのバロック絵画の巨匠、ルーベンス(Peter Paul Rubens)が30年間暮らし、
アトリエとして使用していた邸宅と庭園が美術館となって公開されています。
邸宅美術館では、ルーベンスと彼が所持していた作品や調度品などを見学することができます。
静かで落ち着いた邸宅内の家具や調度品から、その当時の優雅な生活ぶりが見てとられます。
宮廷や教会で人気者だったルーベンスは、悩みや問題を抱える画家が多い中で幸せな人生を送ったようです。
ルーベンスの家(Rubenshuis)は、現在リニューアルの為に休業中です。
再オープンは、2024年8月30日に予定されています。
ルーベンスの家の近くの メイル( Meir )通り
アントワープ中央駅から市内中心地へと続くショッピング街です。
人気ブランド店やファストファッションの店舗、ベルギーで大人気のチョコレート店もこちらにあります。
チョコレート・ライン
ベルギーを代表するチョコレート職人ドミニク・ペルソーヌのチョコレートラインの店舗があるメイル通り。
チョコレートラインは、斬新なデザインとユニークな味が人気のチョコレート店です。
なんとも立派な建物で、「えっ⁈これチョコレートのお店?」って疑問に思ったんですが...
こちらの建物は、1745年アントワープの大富豪によって建てられた大邸宅で、
その後、ナポレオンの手に渡り「アントワープ宮殿」とよばれた建物です。
豪華なシャンデリアと装飾は改装されない当時のままなので、チョコレートと店内の見学が楽しめます。
日本にはまだ店舗がなく、ベルギーにも本店のブルージュとアントワープの2店舗のみだそうです。
本店のブルージュは、ジープが壁に埋め込まれたようなカジュアルな内装で、
こちらアントワープとは全く対照的なイメージの店構えでした。
店内には販売用のみではなく、チョコレートでつられた恐竜の頭やカエルなど...
クリエーティブな作品も展示されています。
チョコレートは1個づつ購入できるので、ゆずやワサビ味などここでしか味わえないチョコレートを
試してみてもいいですね。わさびのチョコレート、結構おいしかったです。
まとめ
フランダースの犬の舞台とルーベンスの傑作や邸宅など、盛りだくさんの観光スポットがある
アントワープは、とても素敵で華やかな街でした。
アントワープも、ブルージュ や ゲント のように観光スポットが市内中心部に集まっているので、
ブリュッセルに起点を置いての往復半日観光は十分可能です。
今回残念だったのは、これでもか..というくらい修復作業が行われていて、思うように観光ができず、
写真も撮れなかったことです。
歴史の古いヨーロッパの街は、どこへ行っても必ず街の観光スポットの1つ以上は修復作業が行われており、
その作業が何年も続くのが当たり前なのですが、「また来ればいい」と気軽に来れる場所でないだけに
ちょっとガッカリでした。