ベルニーニ・カラヴァッジョファン必見!ローマ「ボルゲーゼ美術館」

イタリア

ボルゲーゼ美術館は、ボルゲーゼ公園の敷地の中にある邸宅美術館です。

17世紀前半に枢機卿シピオーネ・ボルゲーゼによって夏の別荘として建てられ、
ルネッサンスからバロック時代まで、すべてボルゲーゼ家のコレクションを所蔵展示する
イタリア国立美術館として1903年に公開されました。

このページでは、私の好みでジャンロレンツォ・ベルニーニとカラヴァッジョの作品を
中心に紹介していきます。


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ボルゲーゼ美術館について

ボルゲーゼ美術館は、ヴァチカン美術館に次いでローマで最も人気のある美術館の一つです。

完全予約制なので、思い立って見学に訪れる...ということができず、当日の予約もかなり難しいので、
公式サイトや Get Your Guide などのチケット販売サイトなどであらかじめチケットの購入をお勧めします。

ボルゲーゼ美術館で見逃せない作品

美術館に入場すると白い壁に金の装飾といった豪華なフロアで、ローマ時代のモザイクの展示が
目に入ってきます。そして美術館の1階には、アントニオ・カノーヴァやジャンロレンツォ・ベルニーニ
による彫刻、そしてカラヴァッジョの作品が展示されているので、見逃さないように注意です。

アントニオ・カノーヴァーの作品

ボルゲーゼ美術館の最初の部屋に展示されているのは、新古典主義の彫刻家・アントニオ・カノーヴァー(Antonio Canova 1757~1822年)。

ローマでは、バチカン美術館に展示されている「ペルセウスとメドゥーサの首(1797~1801年)」
ローマ国立近代美術館に展示されている大型の彫像「ヘラクレスとリカス (1795年)」などが見られます。

パオリーナ・ボルゲーゼ・ボナパルテ

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パオリーナ・ボルゲーゼ・ボナパルテ  [Paolina Borghese Bonaparte (1805~08年)]

アントニオ・カノーヴァによる「パオリーナ・ボルゲーゼ・ボナパルテ」別名「勝利の女神」

このモデルは、ナポレオン・ボナパルテの2番目の妹パオリーナで、
25歳の時にボルゲーゼ家の息子カミッロ・ボルゲーゼと結婚しています。
そして、この結婚を祝ってイタリアの有名な彫刻家カノーヴァに造らせたそうです。

ジャンロレンツォ・ベルニーニの作品

ジャンロレンツォ・ベルニーニは、主にローマで活躍したバロックの巨匠です。
彼の作品は、オベリスクの先端や橋を飾る彫像、噴水となってローマの街中で目にすることができます。

館内では、ジャンロレンツォ・ベルニーニの作品4点が展示されています。

ダヴィデ

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ダヴィデ  [ Davide (1623~24年)]

当時製作中の「アポロとダフネ」の制作を一時中断して、わずか7カ月で完成させた「ダヴィデ像」

若い羊飼い羊飼いダヴィデが、ペリシテ最強の戦士・巨人ゴリアテに石を投げて一撃で倒し、
ゴリアテの剣でその首を切り落として、大勝利をおさめたという
旧約聖書の一説となっているダヴィデを題材にしています。

ベルニーニは、石を投げる瞬間の動きと緊張を表現しており、
彼自身をモデルにダヴィデの顔を制作したそうです。

ベルニーニによって製作されたダヴィデ像は、
ドナテッロやミケランジェロが手掛けた作品とは異なり、躍動感が伝わってきます。

 

アポロとダフネ

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アポロとダフネ  [ Apollo e Dafne (1622~25年)]

「アポロとダフネ」は、ベルニーニが20歳代に手掛けた初期の作品です。
アポロから求愛されたダフネが自らの姿を月桂樹に変えるという、ギリシャ神話の一場面を題材にしています。月桂樹の葉の1枚に至るまでの細かい描写は、ダフネの足元から月桂樹へ変化していこうとする
躍動感とアポロンから逃れようとする瞬間の複雑な構造をダイナミックに表現されており、
「芸術における革命」と高い評価を受けた作品です。

 

プロセルピナの略奪

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プロセルピナの略奪  [ Ratto di Proserpina (1621~22年)]

部屋の中央を堂々と飾る 「プロセルピナの略奪」は、
ベルニーニがわずか22~24歳の頃に制作された革新的な作品です。

豊穣の女神デメテルの娘、プロセルピナに恋をしてしまった冥界の王プルートが、
彼女を力ずくでさらっていこうとするギリシャ神話の一場面を題材にした躍動的な作品です。

逃げるプロセルピナを強引に手に入れようと掴みかかる瞬間をとらえており、プルートの指先が
プロセルピナの軟かな太ももに食い込む表現は、硬い大理石で造られていることを忘れさせます。

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天才ベルニーニは、ローマにバロック美術をもたらした偉大な芸術家です。

「ベルニーニはローマのために生まれ、ローマはベルニーニのためにつくられた」と称賛された
彼のダイナミックな作品は、噴水や教会など街の至る所で見ることができます。ローマの街角で無料で見れるバロックの巨匠「ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ」の作品 が
どこで見れるのか別ページで紹介しています。

 

アエネス、アンキセスとアスカニウス

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アエネス、アンキセスとアスカニウス  [Enea, Anchise e Ascanio (1618-1619) ]

「アエネス、アンキセスとアスカニウス 」 は、ボルゲーゼ枢機卿が依頼した4彫像群の最初の作品です。

ローマ建国の祖先となったといわれるギリシャ神話の登場人物アイネイアスが、トロイ滅亡後、
父アンキセスを背負い、幼いアンカニウスの手を引いて、燃える都から脱出する様子を題材にしています。

バチカン美術館のラファエッロの作品の「ボルゴの火災」から影響を受けたといわれています。

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ボルゲーゼ美術館では有名な絵画や彫像だけでなく、鮮やかな装飾や天井のフレスコ画にも
注目してみてください。

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カラヴァッジョの作品

ナポリ、マルタ島、シチリア島など、南イタリアの都市国家を転々と流浪しながら数々の秀作を残し、
38歳という短い人生を波乱万丈に生きたカラヴァッジョの作品も4点展示されています。

ボルゲーゼ美術館以外にも、カラヴァッジョの6作品がローマの教会の中で見学できます。

ローマで無料で見学できるバロック絵画の先駆者カラヴァッジョの傑作 がどこで見れるのか
別ページで紹介しています!

病めるバッカス

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病めるバッカス  [ BACCHINO MALATO (1593~94年)]

病めるバッカスは、カラヴァッジョの初期代表作のひとつです。

ギリシア・ローマ神話に登場する酒神バッカスを題材に描かれた、若きカラヴァッジョの自画像と
されています。20歳の頃、ミラノからローマに移ったばかりの作品で、この時期は生活も貧困で、
モデルを雇うお金もなかったので、彼自身を描いたといわれています。バッカスの顔が青ざめていて
病人のように見えるのも、実際、貧困な生活から病気をしていた自分を忠実に描いたそうです。

ゴリアテの頭を持つダヴィデ

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ゴリアテの頭を持つダヴィデ  [ David con la testa di Golia(1609~1610年) ]

ゴリアテの頭を持つダヴィデは、カラヴァッジョ最晩年の作品です。
旧約聖書「サムエル記」に登場する英雄ダヴィデが、巨人ゴリアテを打ち取り、
切り取った首から鮮血が滴る残酷なシーンを描いています。

難敵を打ち取ったはずのダヴィデの顔には、勝利の喜びは見られず、苦悩が表現されています。

ダヴィデの持つ生首はカラヴァッジョ最後の自画像であり、そこには殺人や大罪を犯しながら送った
波乱万丈な自分の人生に対する改悛や断罪の念が込められていると言われます。

執筆する聖ヒエロニムス

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執筆する聖ヒエロニムス  [ San Gerolamo scrivente (1605~06年)]

聖ヒエロニムスが、カトリックが使用するラテン語訳聖書となる、ウルガタ聖書を執筆する場面を
題材といています。「執筆する聖ヒエロニムス」は、1605~06年に描かれた作品で、
カラヴァッジョは、暗闇の中に執筆している聖ヒエロニムスと机、その上に置かれた髑髏だけが
浮かび上がるという光と影の手法を使い、強調したい部分だけにスポットライトが当たるように描いています。

聖アンナと聖母子(蛇の聖母)

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聖アンナと聖母子(蛇の聖母)   [ Madonna dei Palafrenieri ]

「聖アンナと聖母子(蛇の聖母)」は、ローマ教皇庁の馬丁組合大信心会の依頼で、
サンピエトロ大聖堂に飾るために1605~06年に描かれた作品です。

聖母子が、キリスト教で邪悪とみなされる蛇を退治するシーンを題材としたもので、完成後、
大聖堂に飾られていましたが、聖アンナがみすぼらしい老婆であることや、
聖母マリアの衣服が庶民的での露出度が高くことが原因で教会側が気に入らず、
2日で祭壇から取り外された後、ボルゲーゼ枢機卿によって購入されました。

ラファエロの作品

美術館の上階には、ラファエロ、ティツィアーノ、ルーベンスなどの作品が展示されています。

キリストの埋葬

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キリストの埋葬 [La Deposizione(1507年)] (写真左手)

ラファエロによって描かれた「キリストの埋葬」は、十字架から降ろされたキリストが、
埋葬されるシーンを描いたもので、キリストの遺体の重みと聖母マリアが、悲しみのあまり
気を失う場面をリアルに描いた作品です。

 

開館時間とチケットの予約

ボルゲーゼ美術館は完全予約制なので、あらかじめオンラインでチケットを購入するか、
電話(英語、イタリア語対応)で予約をする必要があります。

見学時間は、2時間のローテーションになっていて、
09:00-11:00、11:00-13:00、13:00-15:00、15:00-17:00、17:00-19:00の5回のみです。

チケットの交換場所と基本情報

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チケットの交換場所は、美術館正面入り口の地下です。
見学時間の30分前までに、購入済みのチケットの控えをもって受付へ行きます。

このフロアには、クローク、ショップ、バール、トイレがあります。
美術館の中へは、大きな荷物を持って入ることができないため、このクロークで荷物を預け、
自分の入場時間が来たら、外側の上階の入り口から入場します。

場所:Piazza Scipione Borghese 5 Roma
Tel. + 39.06 32810

見学時間:9:00~19:00 (要予約 最終入場 17:45)  [定員制、2時間ごとの交代制]
休館日:月曜、1/1、5/1、12/25

料金:€ 15 [ € 13,00 チケット + € 2,00 Online 予約手数料 ]
公式サイト

地下鉄 A線  (Battistini行き )Barberini駅下車 徒歩18分

Barberini広場からVeneto通りを上がりきり、ピンチアーナ門をくぐると、
ボルゲーゼ公園の敷地に入ります。敷地に入って右側の1つ目の角を右手に折れ、
そのまま公園内を600m進んでいくと白い建物が見えるので、それがボルゲーゼ美術館です。

Barberini駅からバスでアクセス
Veneto通りのバス停から バス61、160、150F、590、C3番(Villa Borghese/Washington行き)

ピンチアーナ門をくぐってすぐの3つ目の停留所 [S.Paolo Del Brasile]で下車。
そこから、公園内を右手に600m進むと白い建物が見えるので、それがボルゲーゼ美術館です。

 

まとめ

館内ではフラッシュなしでの写真撮影ができます。

全予約制の定員制で館内に入って見学できるので、混み合って見学しにくい・・・
ということもなく、2時間で十分見学できます。

ローマ滞在中に美術館の見学を希望する場合は、日時が迫ると予約ができないこともあるので、
あらかじめ日程に余裕を持って、オンラインや旅行代理店 で予約する事をお勧めします。

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