京都で最古の禅寺として知られる「建仁寺」。
京都五山の第三位に列せられている建仁寺では、美しい枯山水庭園を観賞できるほか、「風神雷神図」や
法堂の天井に描かれた「双竜図」、安土桃山時代に描かれた襖絵など撮影スポットも豊富です。
このページでは、建立から800年以上の歴史をもつ建仁寺の見学スポットを紹介します。
建仁寺とは?
臨済宗建仁寺派の大本山建仁寺は、鎌倉時代中期、日本に「禅」を伝えた栄西禅師(えいさいぜんし)
によって開かれた京都最初の禅寺です。
1202年(建仁2年)に鎌倉幕府2代将軍、源頼家の援助を受けて、京都における臨済宗の拠点として
建立されました。 建仁寺という名前は、元号からつけられたそうです。
建仁寺が純粋な禅寺となったのは、1259年(正元元年)、宋僧の蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)が
11世住職に就いたときです。
創建当時は、真言、天台の既存宗派の勢力が強大だったため、真言・止観の二院を構え、
天台・真言・禅の3宗並立で、情勢に対応していたようです。
建立当初の建物は、度重なる火災と応仁の乱によって焼失され、一時は荒廃の道をたどりましたが、
安国寺恵瓊(あんこくじえけい)によって再興が始まり、江戸時代には徳川幕府の庇護を受け、
制度や学問が整備されます。
明治時代になり、政府の廃仏毀釈により塔頭の統廃合が行われ、34院あった塔頭が14院なり、
余った土地を政府に上納したため、境内が半分近くに縮小され現在に至ります。
建仁寺の見どころ
明治時代の廃仏毀釈で縮小されたとはいえ、建仁寺の敷地には壮大な伽藍(がらん)が立ち並び、
無料で見学できるエリアと国宝や貴重な文化財が数多くみられる有料エリアがあります。
ここでは、建仁寺のメインスポット見学スポットを紹介していきます。
本坊・方丈
1818年(文政元年)に建立された本坊が拝観の入り口となります。
本坊と隣り合わせの方丈は、1599年(慶長4年)に安芸の安国寺から移築された柿葺、単層入母屋造の
禅宗方丈建築で、国の重要文化財に指定された貴重な建物です。
仏壇を中心に、衣鉢の間、檀那の間、室中、書院の間、礼の間と6区画に分かれています。
本坊を入るとすぐに金色に輝く「風神雷神図屏風」が目を惹きつけます。
風神雷神図屏風
国宝に指定されている俵屋宗達の代表作「風神雷神図屏風」。
光沢感や細部ま精巧に再現されたレプリカが展示されています。
二人の神様を両脇に配置し中央にスペースを作ることによって躍動感が感じられます。
オリジナルは京都国立博物館内で保管されているため、写真撮影OKです!
雲龍図襖(うんりゅうず ふすま)
安土桃山時代、海北友松(かいほうゆうしょう)によって描かれた襖絵です。
幻想的な雲の中を流れるように動く龍の躍動感を感じます。
襖から今にも飛び出してきそうな迫力です。
かつて6区画から構成された方丈には、海北友松による「竹林七賢図」16面、「琴棋書画図」10面、
「雲龍図」8面、「山水図」8面、「花鳥図」8面の全50面の襖絵からなる水墨画の障壁画群
「建仁寺方丈障壁画」が飾られていたそうで、そのすべてが重要文化財に指定されています。
建仁寺は枯山水庭園が複数楽しめるお寺でもあります。
潮音庭(ちょうおんてい)
潮音庭は、高台寺の円徳院(圓徳院)の名勝庭園の修復に携わった作庭家・北山安夫によります。
三尊石の中央になる中尊石を中心にして東側には座禅石を据え、その周りに石を配置することにより、
どの方向から眺めても美しさと適度な緊張感を保つようにつくられた禅庭です。
四角形の庭を囲む回廊からは、庭園を4方向から鑑賞できます。
大雄苑(だいおうえん)
昭和初期に活躍した作庭家・加藤熊吉により1940年(昭和15年)に作庭された枯山水庭園です。
中国の百丈山を模し、百丈山は別名大雄山ということからこの名が付けられたそうです。
苔の美しい白砂を敷きつめた美しい庭園には、法堂の三尊仏に見立てた三尊石が置かれています。
〇△ロ乃庭
〇・△・ロと記号の名前が付けられたお庭で、「潮音庭(ちょうおんてい)」と同じく
北山安夫によるものです。
名前の通り、〇・△・ロの記号を組み合わせて庭が作られています。
「〇△ロ乃庭」は、江戸時代の禅僧画家・仙厓義梵(せんがい ぎぼん)の「〇△ロ」掛け軸が
元になっているお庭です。
単純な3つの図形は、宇宙の根源的形態を示し、密教の六大思想(地水火風空識)を
地(ロ)・火(△)・水(〇)を象徴したものだといわれています。
回廊を歩いていると、インスタ映えスポットや心が和む光景にも出会えます。
法堂・双竜図
2002年(平成14年)、創建800年を記念して法堂(はっとう)の天井に描かれた「双龍図」。
大きな2匹の龍の姿が印象的な「双竜図」は、鎌倉にある建長寺法堂内の「雲竜図」を手掛けた
小泉淳作画伯によって2年の歳月を費やして描かれました。
108畳にもなる大きな天井に、水墨画で描かれた迫力のある龍の姿を眺めることができます。
龍は仏教を守護し、水を司る龍神であることから火災から建物を守るという意味がある為、
禅寺のお堂の天井に龍が描かれることが多いそうです。
建仁寺には、この双龍図が表紙になっている御朱印帳もあります。
勅使門
勅使門(ちょくしもん)は、銅板葺切妻造の四脚門で、柱や扉に戦乱の矢の痕があることから
「矢の根門」または「矢立門」と呼ばれています。
様式的には鎌倉時代末頃の建築物だといわれていますが、六波羅にあった平教盛の館門を
応仁の乱の後に移築したと伝えられているもので、方丈とともに国の重要文化財に指定されています。
御朱印について
建仁寺の御朱印受付場所は本坊内なので、御朱印をいただくためには、拝観料が必要です。
御朱印の受付時間は、拝観時間と同じです。
御朱印料:300円
本坊には売店があり、こちらであの有名な双龍図が表紙になっている御朱印帳が購入できます。
基本情報
建仁寺 [Kenninji Temple]
所在地:京都府京都市東山区大和大路通四条下ル小松町
拝観時間: 3月1日~10月31日 10:00~16:30(17:00閉門)
11月1日~2月28日 10:00~16:00(16:30閉門)
拝観料金 一般 600円
交通アクセス
京阪電車「祇園四条駅」から徒歩7分、阪急電車「河原町駅」から徒歩10分
JR「京都駅」より市バス 206・100系統
「東山安井」から徒歩5分、「南座前」から徒歩7分、「清水道」、「祇園」から徒歩10分
まとめ
風情のある祇園、花見小路を歩いていくと、建仁寺に辿り着きます。
京都五山にふさわしい壮大な伽藍に驚かされました。
また、有料エリアには見どころが沢山あり、すべて撮影可能なうえ、ゆっくりと庭園を観賞しながら
くつろぐことができる癒しのお寺です。
拝観料を支払って見学した甲斐がありました。
また、境内にはアジサイで有名な小さな古刹・建仁寺霊源院や、開運・勝利のご利益のある
イノシシ寺・摩利支天堂なども合わせてお参りすることができます。